赤ちゃんの泣き声に対する感じ方の男女差はあるのか。

男性は赤ちゃんの泣き声に鈍感。それってホント?

 「赤ちゃんの夜泣きで起きたのに、夫は気づかず寝たまんま…」というような子育て中の母親の話はよく耳にしますよね。

 ママさん向けのブログ記事なんかを読むと、

ママの脳には泣いている赤ちゃんに反応する「特別な回路」がある

 とかいうことが書いてあります。

 確かに私も新生児と妻と同じ部屋で寝ていて、妻だけが夜泣き気づくことはありました。ただ、育休を取っていたときは私の方が先に起きてミルクを作ったりしたことも結構あったんですよね…

 「常識を疑え!」ということで、

 赤ちゃんの泣き声に対する、感じ方の男女差はあるのか

 について論文やらなんやらをいろいろ検索してみました。

 先に結論を書きますが、

 やや女性の方が泣き声に対する反応は強いようだが、男女差を考慮した研究自体が少なく、現時点で明確に男性の方が反応が弱いと決定づけることはできない。

というのが私がたどり着いた答えです。  

以下で検索した論文に書いてあった内容を簡単に紹介していきます。

泣き声の知覚は育児意識に関連

 神谷哲司(東北大学 大学院教育学研究科・教育学部准教授)氏による2007年の論文では、

⑴乳児 の泣き声に対する知覚について,父母それぞれ泣き声の異なる側面に対して弁別をしている可能性 があること,⑵泣き声の知覚は知覚する本人の育児意識のみならず,そのパートナーの育児意識とも関連すること,⑶さらにそれらの関連は,主に,高リスク乳児の泣き声に対するネガティヴな側面の知覚において示されていたことである。

「 乳児の泣き声に対する父母の知覚と育児意識との関連 ―家族システムの観点から― 」
 神 谷 哲 司 (2007)

 と記されています。

  • 泣き声について男女で別々の聞き分け方をしている
  • 泣き声の知覚は夫婦間の育児意識に関係している
  • それらの傾向は聞き分けた泣き声のうち、高リスクなものについての反応でよく見られた。

 ってことですかね。

父親は母親より泣き声を不快と感じる傾向

 次は岩手県立大学の高橋有里准教授と桐田隆博教授による2011年の研究です。

本研究では,育児中の20組の父親と母親の乳児の泣き声に対する心理生理的反応を測定し,性別および,乳幼児の泣き声に対する不快度の観点から比較検討した.(中略).その結果,乳児の泣き声に対する父親と母親の生理的な反応には統計学的な差異は見られなかった. ただし,細かく見ると (中略) 父親は母親より泣き声を不快に感じる傾向があることが示唆された.

乳児の泣き声が父親・母親に及ぼす心理生理的影響   高橋有里 桐田隆博   抄録 を引用

 泣き声に対する不快度という観点では、男女差はないものの男性の方がやや不快感を示しやすい、という内容かと思います。

男性のサンプル少なすぎ問題

 最後に東北福祉大学の庭野 賀津子教授による2014年の研究を紹介します。

 これは乳児の顔を見せた際の脳の動きについての記述ですが、最初に紹介した、「特別な回路」的なことが書かれているものと思います。

出産や育児の経験のない女性も,乳児の写真 に対して母親と共通する部分,たとえば視床,線条体,前帯状回,前頭葉眼窩皮質等の賦活が見られ,それは男性には見られなかったことから,女性には乳児に対する特異的な反応性が見られることが示された。

乳児の泣き声と表情に対するヒトの脳反応 ─fMRI による研究の文献検討 ─

 尚、この研究では海外の22の論文を分析の対象にしていますが、実験となった人を計算すると、母親が 17 件、非親の女性 6 件、父親 1 件、非親の男性 2 件とほぼ女性です。育児が母親によって行われるというのは日本だけでなく、世界的にも根強い意識なのかと感じます。

まとめ

 紹介させていただいた3つの論文を総合的に見た限り、明確に男性の方が赤ちゃんの泣き声に対する反応が弱いと決定づけるのは良くないのかな、という印象です。(雑な考察でスミマセン)

 育児意識が関連というのもあるようなので、ママさんたちは赤ちゃんの夜泣きに対するパパの反応を、育児に対する取り組み姿勢の指標みたいにしてしまうのもありかもしれませんね。

最新情報をチェックしよう!